マドリードから日帰りで行ける!世界遺産の古都3選
世界遺産とは「世界で共有する普遍的な価値」とされ、文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類があります。元々は、エジプトのアスワン・ハイダム建設に伴い、ヌビア遺跡を保存しようということから始められました。世界一の世界遺産の宝庫はイタリアで、続いて中国、スペイン。スペインは世界で3番目にあたり、合計44の世界遺産があります。
スペイン旅行の際、スタートかラストにあたる都市といえば首都マドリード。連泊する方も多い人気の都市マドリードから簡単に日帰りで行ける古都三選をご紹介したいと思います。いずれも車で片道約1時間で行くことが出来るので、現地で美味しいスペイン料理のランチを挟んでの充実した世界遺産の古都1日コースです。
1.セゴビア|Segovia
セゴビアは、海抜1000m、人口は5万7000人の城塞都市で、旧市街と水道橋そしてアルカサールと呼ばれるお城は世界遺産の登録を受けています。カスティーリャ・イ・レオン州セゴビア県の県都でマドリードから87㎞離れており、鉄道で2時間、バスや車で約1時間です。
旧市街は高台の上に壮大に位置しており迫力があります。
セゴビアの水道橋|Acueducto de Segovia
紀元1世紀頃に建設された二重構造の水道橋でスペインで最大の大きさを誇っています。全長728㎞にも及ぶ規模。そのあまりの完成度の高さから「悪魔の橋」とも呼ばれています。
地中海地方には、ローマ時代の水道橋がたくさん残されておりますが、セゴビアの水道橋は中でも1,2を争うほどの美しさ。接着剤などは一切使わず石を積み上げて作られているので、一般的にはボテッとした印象になるのが普通なのですが、鉄も使用しているために繊細でスッキリとしたフォルムが特徴です。
★水道橋にまつわる伝説
セゴビアの街に住む美しい娘が毎日の水汲みに疲れて果ててしまい、傷ついた自分の腕を見つめながらこう呟いたと言います。「夜明けまでに私の家まで水を引いてくれるなら、私の魂を捧げます」。これを聞いた悪魔が一晩のうちに水道橋を仕上げましたが、最後の石を頂上に置こうとしたその瞬間にニワトリが鳴き、約束の時間に間に合いませんでした。そして娘は、悪魔と約束を交わしたことを恥じ、教会で懺悔をし、橋の中央に守り神としてマリア像を置くようにお願いしたのだそうです。それで、この水道橋の上部にはマリア像、下部には十字架が設置されているのです。
セゴビアの大聖堂|Catedral de Santa Maria de Segovia
正式名は、サンタ・マリア・デ・セゴビア大聖堂。
16~18世紀にかけて建てられたゴシック様式の大聖堂です。スペインでは、大聖堂をカテドラルと呼んでいます。大聖堂と教会の違いは、大聖堂には司教座がおかれていて司教様のお住いも隣接しているのが特徴。夜のイルミネーションもとても綺麗なのでお勧めです。
アルカサル|Alcazal de Segovia
ディズニーの白雪姫のお城のモデルになったとして世界的に有名な城。高い崖の上に立ち、周りが森で囲まれているセゴビア城は、まるでおとぎの国のお城のよう。白雪姫のお城の世界を体感できます。内部の見学も可能。
アルカサルは「城」「砦」を意味するアラブ語が語源です。
★コチニージョ・アサド~仔豚の丸焼き~
セゴビアの名物料理と言えば、「コチニージョ・アサド」。生後45日以内の3~4㎏の仔豚をそのまま丸ごと窯の中で焼かれて出てきます。味付けは、塩・胡椒・ニンニク・ハーブ類・数種類のスパイスなどで約2時間かけてじっくりとグリルをします。
見かけはちょっとグロテスクですが、ジューシーでさっぱりとした味わいで、きつね色にこんがりパリッと焼かれた皮の部分もとても美味しく赤ワインによく合います。セゴビアに行ったら、ぜひ一度召し上がっていただきたいお料理です。1匹で約6~8人前ですが、一人分ずつ切り分けてのオーダーも可能。お値段はレストランにもよりますが、約140~160ユーロくらい(約3万円前後)。
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2.トレド|Toledo
トレドは、カスティーリャ・ラマンチャ州の州都。マドリードから南に71㎞の所に位置しています。周りをタホ川に囲まれていて自然の要塞のような役割をしています。タホ川はスペインの山に端を発しトレドを通り、さらに西のポルトガルのリスボンへ流れテジョン川と名前を変え大西洋へと注いでいきます。また、かつて西ゴートの首都となった町で、町全体が博物館と言われるほど美しい古都。対岸の展望台から見るトレドの前景は、まるで絵葉書のように綺麗で、タイムスリップしたかのよう。
タホ川に囲まれた旧市街は世界遺産に登録されており、坂道も多いのですが、カメラを片手に古い街並みをゆっくりと散策するのもとても有意義な時間ではないでしょうか。ルネサンス期の有名な画家「エル・グレコ」が活躍した町としても有名で、彼の作品に関わる建物も多くあります。
トレドの大聖堂|Catedral de Santa Maria de Toledo
正式名は、サンタ・マリア・デ・トレド大聖堂。
世界のカトリックの総本山は、ローマのバチカン市国にあるサンピエトロ寺院ですが、スペインにおけるカトリック教会の頂点は、トレドの大聖堂。ここにはトレド大司教座がおかれていて、スペイン・カトリック教会の首位聖職者という位置づけに値します。荘厳な外観もさることながら、内部の装飾も見事。なかでも宝物殿は大変興味深いものがたくさん展示されておりますのでぜひ入ってみることをお勧めいたします。
1226年に着工され、フランスゴシック様式の影響を受けて建設されました。教会建築は、寄付金により賄われているので、そのため100年単位で建築が行われるといっても過言ではありません。そういう理由から、建設当時流行している建築様式を用いるのが特徴で、何百年もかけて建築された教会などは様々な建築様式が入り混じっているわけです。
サント・トメ教会|Iglesia de Santo Tome
エル・グレコによって描かれた最高傑作「オルガス伯の埋葬」は、教会正面入口の右側に飾られております。チケット売り場左手から入って廻り込むと正面に見えます。教会内部も見学可能ですが、
「静粛に!」というルールを守りましょう。教会自体は小規模ですが、エル・グレコの大きな絵の存在で訪れる人の心を圧倒します。
★エル・グレコ|El Greco
ギリシャのクレタ島出身の画家で、エル・グレコというのは「ギリシャ人」という意味。本名は、「ドメニコス・テオトコプロス」と言いました。クレタ島でビザンチン様式を取得した後イタリアへ渡り、約10年ティツィアーノなどのヴェネツィア派の色鮮やかな色彩やミケランジェロの量体表現、引き伸ばされた人体比率などを学びますが、報酬などの金銭トラブルが絶えず極貧の生活を強いられていたこともあり、その後宮廷画家を目指してスペインへ渡ります。しかし当時の権力者フェリッペ二世にその画風を認めてもらえず宮廷画家への道は閉ざされてしまうのですが、宗教関係者や知識人の圧倒的な支持を得て、マニエリスム最大の画家として活躍をすることになります。
さて、トレドの大聖堂内部の博物館やサント・トメ教会、あるいはマドリードのプラド美術館にも彼の作品がたくさん展示されておりますが、その多くには彼自身の本名のサインが描かれていることにお気づきになることと思います。スペインに渡ってきて画家として活躍していても、スペイン人達には単なる「ギリシャ人」と呼ばれていたわけです。おそらく、そんな複雑な想いのもと、自分の作品には彼の本名である「ドメニコス・テオトコプロス」と小さくどこかの部分に入れることで、自分の名前の存在を残したかったのかもしれませんね。
★オルガス伯の埋葬
サント・トメ教会内部にあるエル・グレコの最高傑作で、トレドの富裕なオルガス伯という方が亡くなった時に、彼の埋葬場面を描いてほしいと司祭から依頼があり描いたもの。アーチ型のキャンバスは運び出すことが不可能なので、ここを訪れないと鑑賞することが出来ないという大変貴重な作品です。題材は依頼の如く、オルガス伯が亡くなった時の埋葬の様子を描いたものです。
オルガス伯という方は、教会に多額の寄付をしたり貧しい人々を助けたりと、トレドの町に非常に貢献いたしました。そのような善人は、亡くなったら天国に行けるのだというカトリックの教えも入れ込んだのかと思いますが、この絵は天上と地上のふたつの場面に分けられています。
天上は天国の世界で、マリアさまや天国の鍵を持っている聖ペテロ、またキリストの姿もあります。真ん中から下は地上の世界で、亡くなったオルガス伯を運ぶ司祭の姿、当時の著名人や知識人、富裕層などの重要な人物などが描かれております。しかし最も興味深いのは、エル・グレコ自身と彼の息子の姿を取り入れていることで、2人とも、絵を鑑賞している私たちの方に向かって顔が正面を向いています。
絵の中央部分では、亡くなったオルガス伯の魂が天上へと舞い上がって行くという場面として神聖なイメージを醸し出しています。
そして、絵の下にある地下の部分には、オルガス伯の遺体が埋葬されています。
★ちょっと一息!トレド名物マサパン
昔は修道院で作られていた歴史あるお菓子。アーモンドの粉にお砂糖や蜂蜜など他の材料を混ぜて型に入れたり成形したりして焼いたお菓子。サント・トメ教会のそばにある「サント・トメ」というお菓子屋さんが有名ですが、各店舗それぞれ趣向を凝らしていて、ショーウインドウに修道院でマサパンを作る工程をフィギュアを使ってディスプレイしてあったりと、見ていてもとても楽しいものです。
見た目も可愛いくて日持ちもする他さらに軽いので、もちろんお土産にもどうぞ!
3.クエンカ|Cuenca
クエンカはカスティーリャ・ラマンチャ州クエンカ県の県都で、歴史あるパラドール(国営宿舎)や「宙吊りの家」が有名です。渓谷の上にせり出すようにして建っているのでこう呼ばれるようになったのだとか。
パラドールと旧市街を結ぶ吊り橋の中央部分から撮る写真がお勧め。「宙吊りの家」のベストショットが撮れるスポットです。ただし、高所恐怖症の方へはお勧め出来ません。「宙吊りの家」というより「宙吊りの橋」と言った方が正しいかもしれないくらい恐怖を感じる吊り橋ですが、その絶景は見事!地中海地方には鷲巣村と呼ばれる山上都市がたくさんありますが、ここクエンカは他に類をみない個性的な町。「宙吊りの家」と呼ばれるのも納得がいきます。
パラドールで優雅なランチをとり、ゆっくりのんびりクエンカの旧市街を散策しながら写真を撮るのも絶対お勧めです!
マドリードから日帰りで行ける!世界遺産の古都3選のまとめ
ご紹介いたしました三都市は、ユネスコの世界遺産登録の古都。それぞれに歴史があり、首都マドリードから車や列車で約1時間で行ける日帰り旅行に最適なところです。「マドリードに連泊して効率よく世界遺産を巡る旅」をぜひお勧めいたします。
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【担当:nekotabiko】
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