ワルシャワへ行く前に歴史を知っておくと景色が変わる!絶対に訪れて欲しい博物館3選
ポーランドの首都であるワルシャワ。
首都だから”よく知らないけど”、とりあえず観光してみる、という旅行者は多いのではないでしょうか?ポーランドにはヨーロッパで一番美しい街と言われるクラクフがあるせいか、ワルシャワはオマケ程度で観光する人も多いようです。
その結果、「イメージと違っていた」「思ったより楽しめなかった」という声も。なぜでしょう?
実はこの都市、今でこそ華やかな首都として栄えていますが、第二次世界大戦で84%もの部分が破壊されました。その為、ヨーロッパ観光では典型的な古い教会や歴史的建造物などが極端に少なく、他のポーランド都市と比較してもワルシャワの観光スポットといえば博物館が多くを占めます。そういった事情を知らずに観光してしまうと、退屈だと感じる方もいるでしょう。しかし、悲劇の街と代されてきたワルシャワも今日では立派な大都市。そういった歴史を把握した上で成長を遂げたワルシャワを見ると、景色もまた変わってくるはず。今回の記事では、ポーランドとワルシャワの歴史的背景、その歴史を学ぶことのできる博物館をご紹介していきます。
- ポーランドとワルシャワの歴史
- 1.ワルシャワ蜂起博物館
- 2.ポーランド・ユダヤ人歴史博物館
- 3.パヴィアク刑務所博物館
- ワルシャワへ行く前に歴史を知っておくと景色が変わる!絶対に訪れて欲しい博物館3選のまとめ
ポーランドとワルシャワの歴史
ワルシャワが首都として制定されたのは1611年のこと。その頃のポーランドは、北のパリと言われるほど経済的にも文化的にも大きな発展を遂げていました。しかし、18世紀末から第一次世界大戦終了までの123年間、プロイセン、ロシア、オーストリアの3ヶ国によって全ての国土を占領されます。ヨーロッパ最強と言われたこともあったポーランドにとって、国そのものが地図から存在を消した123年間は非常に耐え難い苦難の時でした。それでもポーランドとしての復活を諦めず、第一次世界大戦の後にようやく自国を取り戻すことに成功しますが、1939年9月1日、ドイツ軍がポーランドへ侵攻したことにより第二次世界大戦が開戦。爆撃と空爆が国全体を覆う中、首都ワルシャワは間もなく、ナチス・ドイツの占領下に置かれます。その占領から約4年後、今度はナチス・ドイツからワルシャワを奪おうとソ連軍がワルシャワのすぐ近くまで攻めていました。そして1944年7月30日、市外にいるドイツ軍を攻撃していたソ連軍はワルシャワ市民にこう告げます。「私達はドイツ軍を攻めるから、君達も市内から同時に攻めて欲しい。そうしたらドイツ軍を倒せる。」ー 実はソ連とポーランドは政治の都合上、同盟国を組んでいましたが、事実上は敵同士でした。しかしドイツ軍は表向にも敵であった為、これを聞いたワルシャワ市民はドイツ軍を倒すチャンスだと考えます。そして8月1日、以前から計画していたワルシャワ蜂起を遂に実行。結果としてソ連はドイツ軍への攻撃を一切せず、ろくに武器らしい武器を持っていなかったポーランド人達は歯が立たない状態でドイツ軍によって反撃されてしまいました。ワルシャワ蜂起をテロ行為とみなしたドイツ軍の反撃は二ヶ月間にも及び、この間にワルシャワは徹底的に破壊され、戦死または殺害された市民は22万人に及ぶと言われています。
この後にご紹介する博物館は、ワルシャワ蜂起に関するものや迫害されてきたユダヤ人についての博物館です。ユダヤ人のことについては上記であまり触れませんでしたが、実はワルシャワ蜂起の1年前にはワルシャワ・ゲットー蜂起があり、多くのユダヤ人がゲットーと呼ばれるユダヤ人隔離地区でナチス・ドイツによって虐殺されました。ヨーロッパ中から迫害されていたユダヤ人を移民として多く受け入れ、うまく共存していたポーランドにとってユダヤ人との関係は切っては離せないものです。旅行ではこのような暗い歴史からつい目を背けたくなりますが、今一度、『平和とは何か』ということを再確認する旅も良いのではないでしょうか。
1.ワルシャワ蜂起博物館
ワルシャワ蜂起に関する最も代表的なこの博物館には、毎日多くの観光客が訪れます。ドイツ軍の66日間による攻撃を記した日めくりカレンダーを集めたり、当時のものを再現した連絡通路の体験、豊富な写真と映像展示物によってワルシャワ蜂起の歴史を十分に学習することができます。館内の3D映画は大変人気で、列に40分程並ぶこともあるので滞在時間は多めに見ておいた方がいいでしょう。注意点として、痛々しい写真や衝撃の強い映像が多くあるので、小さいお子様の同伴はお勧めしません。
◼︎所要時間: 1時間半~2時間強
◼︎行き方: トラム22番,24番 Muzeum Powstania Warszawskiego(ムゼウムポフスタニャ バルシャフスキエゴ)下車 又は メトロ2号線 Rond Daszyńskiego(ロンド ダシェニスキエゴ)下車、徒歩約500m
◼︎言語: 展示物に日本語表記はありませんが、別料金で日本語オーディオガイドを借りることが出来ます。英語表記あり。
◼︎料金: 通常18zł 学生14zł ※日曜日は入場料無料
◼︎時間: 月曜・水曜・金曜 8:00-18:00、土曜・日曜 10:00-18:00、木曜 8:00-20:00
◼︎閉館日: 火曜
ワルシャワ蜂起博物館
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2.ポーランド・ユダヤ人歴史博物館
ワルシャワ蜂起から70年にあたる2013年にオープンした非常に近代的な歴史博物館。かつてのユダヤ人地区街であったムラヌフ地区に建設されました。この博物館では、これまで迫害されてきたユダヤ人の文化と背景を1000年の歴史を通し、最もユニークな方法で紹介しています。また、館内にはユダヤ人街地区のレプリカや17世紀のシナゴーグを再現したスペース、当時の硬貨をコンピューターグラフィックス上でデザインしてみたりと体感式のコーナーが多いので飽きることはないでしょう。チケットはネットでも事前購入できますが、15分毎に50人までという人数制限がある為、現地でも予約制となっています。閉館2時間前に入場は締め切られるので時間には注意しましょう。
◼︎所要時間: 約2時間
◼︎行き方: バス 111, 180 Nalewki Muzeum(ナレフキ ムゼウム)
◼︎言語: 展示物、オーディオガイド共にに日本語表示はありません。英語表記あり。
◼︎料金: 大人 30zł 20zł 特別展をご覧にならない場合は5zł割引となります
※木曜日は入場料無料
◼︎時間: 月曜・木曜・金曜 10:00-18:00、水曜・土曜・日曜 10:00-20:10
◼︎閉館日: 火曜、一部の祝日
ポーランド・ユダヤ人歴史博物館
3.パヴィアク刑務所博物館
元々ロシアの監獄だったパヴィアク刑務所は、現在この博物館がある場所に建設されました。主に政治犯や犯罪者などを収容していましたが、特に第二次世界大戦中の1939年から1944年の間は犯罪の重さを問わず、約12万人もの男女がここに捕らえられたと言われています。その内数万の人々は射殺または強制収容所に移送されましたが、ワルシャワ蜂起後は残りの収監者全員が射殺され、最後に刑務所は爆破されました。そして、わずかに残った残骸と共に記念として建てられたものが現在のパヴィアク刑務所博物館。当時の監獄を再現したスペースはもちろん、実際に使われいた鉄具や写真、手紙などが並びます。また、ここには日本人として非常に興味深い展示物があります。それはパヴィアク刑務所に収容された女性、カミラが作った日本人形。カミラはある日本人オペラ歌手の熱心なファンでしたが、ワルシャワ蜂起に参加した罪として捕らえられていました。彼女が作った日本人形はそのオペラ歌手をモデルとしています。
◼︎所要時間: 30分強
◼︎行き方: トラム 11, 17, 33, 41 Anielewicza(アニエレヴィツァ)下車 徒歩約200m
パヴィアク刑務所博物館はポーランド・ユダヤ人歴史博物館から約300mの位置にあるので、両方合わせて訪れることをお勧めします。
◼︎言語: ポーランド語のみ
◼︎料金: 大人 8zł 学生 4zł ※木曜日は無料
◼︎時間: 10:00-17:00
◼︎閉館日: 月曜、火曜
ワルシャワへ行く前に歴史を知っておくと景色が変わる!絶対に訪れて欲しい博物館3選のまとめ
他にもいくつか歴史に関する博物館はあるのですが、展示内容が日本人には分かりづらい、内容が重複するなどの理由で3つに絞らせて頂きました。また、この3つの博物館の情報は2015年4月現在とさせて頂きます。
冒頭でもお伝えしたようにワルシャワは、かつて戦争で84%もの破壊を受けた街。戦後はワルシャワ市民によって完全に復元され、その街並みは世界遺産として登録されました。その登録に関わったある人物はこう述べています。「復元されたからこそ登録に値する。もしワルシャワ市街が破壊と復興の歴史がなく、残っていなければ登録しようとも思わない」ー
正直に言うと確かに、何の事情も知らずにワルシャワ旧市街を観光したところで、そこが世界遺産に登録される程の場所だと感じる人はあまりいないでしょう。だからこそこの歴史を知って欲しい、そういった思いがあって今回こちらの記事を書かせて頂きました。長い長い苦難を乗り越えた後、自らの力で再び活気を取り戻したワルシャワを歴史と重ねあせながら、違う視点で観光してもらえると嬉しいです。
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【担当:カスプシュイック綾香】
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